日本語の五十音のなかでも、ヤ行とワ行は半母音のような音だから、外来語を表記する際に「バリア〜バリヤ」「リタイア〜リタイヤ」「ブルジョア〜ブルジョワ」といった揺れが生じることがある。
揺れというのは、どちらが正しいとも決めかねる、いわば両方が許容されている表記である。
当然のことだが、この現象は通常はカタカナで書く外来語の場合に限られ、和語や漢語の場合には起こらないのが普通である。
しかし、盲学校の生徒が点字で書いた作文などを読むと、「おみあげ」「ふわん」のような表記に遭遇することがある。
耳で聞こえたとおりに(あるいは、そう聞こえたと本人が思ったとおりに)書いているのである。
もちろん点字使用者であっても、よほどたくさんの読書経験を積めば、どこかで「おみやげ」という語に出合い、この語の正しい表記は「おみあげ」ではなく「おみやげ」なのだということに気づくことが全くないとは言えないだろう。
しかし、知らず知らずのうちに正しい表記が身についてしまうなどというオメデタイ可能性は、晴眼者の場合と比べたらはるかに期待薄である。
最近は点字使用者もパソコンを使って漢字かな混じりの墨字文書を作成することも珍しいことではなくなった。
これらの語をパソコンで「おみあげ」「ふわん」と入力しても、本来の意図どおり「お土産」「不安」と変換されることはない。
入力ミスとして一蹴されるだけである。
正しい表記を文字で読む機会が少ない生徒にとっては酷な話ではあるが、「おみあげ」「ふわん」は、表記の揺れとして許容されているとは言えず、もちろん正しくない。
こういった表記が生じる原因は、「バリア〜バリヤ」の場合となんら変わらない。
墨字を目で見たことのない人にとっては、事実上の「揺れ」が存在しているといっても過言はでない。
そういった中で、偶然に生まれた傑作があった。
「きょうはサイヤクな一日だった」
「最悪」と書こうとしたつもりが「災厄」と変換され、結果的に書き手の意図と「当たらずといえども遠からず」。
タグ : 日本語 入力ミス
| TOP |
プロフィール
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
By FC2ブログ
ブロとも申請フォーム
<< 応援歌
| TOP |
石川倉次がつくったアプリオリな体系 >>