先ごろ、第22回東洋大学「現代学生百人一首」入選作品が発表された。
今回の応募総数63272首の中から選ばれた100の入選作品の中に、盲学校の生徒の作品がある。
第22回(2009年)
「こっちだよ」手の鳴る方へ歩み行くやっと覚えた作業所の中
愛知県 県立岡崎盲学校 3年 川村 優也
岡崎盲学校の3年とある。
高等部普通科の3年生なのだろう。
想像される場面は、現場実習である。
高等部普通科を卒業する生徒の進路はさまざまであるが、福祉作業所へ進む人たちは、現場実習を行う。
作業所は、障害者のための施設ではあるが、そこに通う人たちの中では視覚障害者は少数派である。
床面に誘導ブロックが設置されている作業所もあるかもしれないが、そのような設備がまったくない施設もあるだろう。
そんな施設の中では、人の声や合図が空間認知のための不可欠な情報となる。
作業所の仲間といっしょに活動するために、「こっちだよ」の合図をたよりに歩いて、頭の中に作業所内の地図をつくるのである。
現代学生百人一首に盲学校の生徒の作が入選するのは珍しいことではない。
そう思っていたが、念のために改めて東洋大学のWEBサイトから過去の年度の「現代学生百人一首」を読み返してみた。
すると、思ったとおり、盲学校の生徒の短歌をいくつも見つけることができた。
入選作がある年のほうが、むしろ多いくらいだ。
とりわけ目立つのは、今回の入選者である川村優也さんの通う岡崎盲学校である。
学校をあげて力を入れて取り組んでいることがわかる。
第21回(2008年)
「痛くない?」鍼持つ指が震えてる今日も実技で真剣勝負
愛知県 県立岡崎盲学校 1年 石島 美奈
点ブロの上で困って立ち止る私の前に出される右手
愛知県 県立岡崎盲学校 1年 森田 香織
第20回(2007年)
碧(あお)い空いつになったら見えるのか心に刻む僕の青空
愛知県 県立岡崎盲学校 1年 加藤 政明
桜降る天衣無縫の光降る黒い自分の外にあるもの
大阪府 大阪市立盲学校 1年 中村 優子
第18回(2005年)
何気なく過ごしてしまう日々だけど気づかぬとこに幸せいっぱい
群馬県 県立盲学校高等部 1年 野中 美保
人込みで手を擦り抜けし 白杖 ( はくじょう ) を拾う人なき淋しさ募る
愛知県 県立岡崎盲学校高等部 1年 石島 美奈
第17回(2004年)
だめでもいいやってみたいのできるだけそれでもだめなら自分の責任ああああ
東京都 都立八王子盲学校 3年 鈴木 沙耶
私の目見えなくなる日くるんだよそれでもいいとつぶやく夫
愛知県 県立岡崎盲学校 1年 神谷 妙子
第15回 (2003年)
照れながらひとつの傘に身を寄せて触れる肩先ほのかに熱く
千葉県 県立千葉盲学校高等部理療科 1年 大川 明子
第18回と第21回、石島美奈さんという同じ人が二度、入選している
いずれも「1年生」となっているが、最初の入選はおそらく高等部普通科の生徒だったときのもの、2度目は理療科の生徒としての作である。
盲学校の理療科には、中途失明あるいは視力低下による過年齢の入学者が少なくない。
第15回の大川明子さんは31歳、第17回の神谷妙子さんは46歳とある。
意を決して、第二の人生を歩もうと盲学校の門をたたいた人たちである。《参照・リンク》
第22回東洋大学「現代学生百人一首」入選作品100首および小学生の部10首発表
タグ : 短歌 現代学生百人一首 盲学校 岡崎盲学校 東洋大学 作業所 現場実習
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